2018年06月16日

kowareyasui monogatari : Big Phony - Bobby

今回は自分が夜勤明けの就寝時に『My nightsift music』としてよく聴いているアルバムの紹介です。それでなくても雨の日とか雪の日とか『今日はちょっと外出したくないな〜』という気分の時や心も身体も「イン」な時に聴くとしっくりくる作品です。関東地方も梅雨入りしたので聴くにはとてもタイムリーな1枚かもしれません。

Big Phony - BOBBY - BIG PHONY BOBBY COVER ART.jpg






現在は韓国、ソウルを拠点に活動している韓国系アメリカ人SSW、Bobby Choyのソロユニット、Big Phonyが2014年2月にリリースしたアルバム『Bobby』を紹介。

このアルバムを聴き終えた時、真っ先に思い浮かんだのがエリオット・スミスの『XO』ブルース・コバーンの『High winds white sky』の2枚のアルバム。その時の気分で聴きたいテイストみたいなものはもちろん変化はしますが、この2枚のアルバムには自分が今求めているSSWの要素が全て揃っている。まずアコースティックであって、かつフォークという一括りでは言い表せないメロディーのセンス、そして少しウィスパーなボーカル、本作『Bobby』にはそれらの要素が揃っていると感じた。

自宅のベッドルームで録音されたという本作、アコースティックギターとピアノと彼のボーカル、そしてラップトップPC。ただそれだけのシンプルなアルバムではあるけれど、それでも彼の魅力は十分すぎるほど伝わってきます。

水が流れるようなギターに厳かさを感じるピアノの音、やはりアジアの血が混ざっていることが感じられるメロディーの美しさであったり親しみやすさであったり、そして何と言っても少し細めの儚くて甲高いボーカルが魅力的だ。

まるで少しでも乱暴に扱ってしまうと脆く崩れてしまうようなもの、それはひょっとしたらガールフレンドだったり、そうしたものを自分には大きな力はないけれども全力で大事に、大切に守っていこうとする強い意志が伝わってくるかのよう。そんな9曲の『コワレヤスイモノガタリ』は自分にとっては就寝前の安らげるひと時に聴く音楽でありながら静かに力が湧いてくる作品かと思います。

自分は@ABCDHが好きです。特にDのイントロがジョン・レノンの『Imagine』を思わせてハッとさせられます。
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2018年06月07日

時間のない森の中へ:来生たかお - 遊歩道

今回も前回のプレイリスト同様に『レコード・コレクターズ』で特集されていた邦楽シティ・ポップの名盤選からのチョイス。

遊歩道1.JPG


・来生たかお - 遊歩道

・Side 1
@High moon
A蜜月
B渚のほのめき (YouTube)
CMidnight step
・Side 2
@疑惑 (YouTube)
A坂道の天使
B蟠り
Cテレフォン・ララバイ
Dスローナイト


こちらは82年リリースの8作目。自分はレコードで聴いているので曲順はレコード仕様。

この頃の来生氏は自身の作品もコンスタントにリリースしながら作曲家としても大活躍だった時期。薬師丸ひろ子『セーラー服と機関銃』、大橋純子『シルエット・ロマンス』、中森明菜『セカンド・ラブ』そして自身の『夢の途中』、いずれも81年から82年にかけての提供曲でこれらのシングルは彼女たちの代表曲どころか後世に歌い継がれている曲ばかり、当然ながら本作も悪いわけがありません。

9曲全て作詞:来生えつこ・作曲:来生たかおの姉弟コンビ、参加ミュージシャンも坂本龍一、ギターに鈴木茂、松原正樹、芳野藤丸、コーラスに鳴海寛&山川恵津子の東北新幹線コンビ、と超豪華。

そして男のやるせないロマンを時には文学的に、時には俳句的な風情を携えたえつこさんの歌詞、たかお氏が作り出す英国気質の上品なメロディーとサウンドアプローチに抑制のきいたジェントルなボーカル、彼自身のアイディアによるアートワーク、見た目と中身の一体感はとても良くて『アダルトなエバーグリーン・ポップアルバム』と呼びたい1枚であります。

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たかお氏、またはこの姉弟コンビの作り出す音楽の魅力は何と言っても「時間が止まったような歌」を聴かせてくれるところ。

本作もアートワークのようにまるで時間のない深い森の中に迷い込んだ感じになります。そこに現れるのがたかお氏。ここでの彼はその深い森のマスター的な存在といったところでしょうか、初対面である自分に「タバコはいかがですか?」「珈琲はいかがですか?」とフレンドリーにもてなしてくれる。そして「せっかくピアノもあるので1曲歌わせてください」とサラッと歌を聴かせてくれる、気付いたら9曲も!本当に時間を忘れて彼の歌をずっと聴いていたいと思う、そんなアルバムです。

9曲全てオススメですが、特に坂本教授アレンジのSide-1(A面)が流れ的に好き。Aはメロディーが好き、Bのトロピカルな雰囲気は深い森の中でも光が射し込んでくるのが感じられて初夏を思わせます。

Side-2(B面)になると「夢の途中」の延長をいくドラマチックなシングル曲@が好き。都会的な洗練といったところではファルセットも飛び出す小粋なCとDを推したいです。

アレンジは坂本教授(A@〜C、BA)に星勝さん(B@BD)と矢倉銀(来生氏のペンネーム)(A@、BC)の3方、坂本教授のアレンジはVirginia Astleyの『Hope in a darkened heart』でも聴けるドリーミーなソウル感が漂っているのに対して、星氏のそれは楽器の音色がダイレクトに届くダイナミックな仕上がり。そのため夢見心地な坂本教授のアレンジに比べるとリアルに響くかも。来生氏のアレンジは坂本教授寄り?な感じがします。

それとSide-1@の『やるせなさを 男は背負うけれど 君にだけは さりげなく歌を唄う』という歌詞が来生たかおそのものを表現していてすごく好きです。

最後に、上記で触れたとおり彼の歌と姉弟コンビの書いた音楽の魅力は流行り廃りなんて言葉が陳腐に思えてしまえるような「時間が止まったような」歌を聴かせてくれるところであり、デビューから現在までボーカルを含めてそのスタンスは貫かれているように感じます。よって膨大なスタジオアルバムの中からどれか1枚を選ぶとなってもどこから選んでも問題なし!であります。

またベスト盤も多数リリースされており、おなじみヒット曲のセルフカバーも聴けるのでソングライティングの魅力が分かるというところではベスト盤もあり、ですね。
ラベル:80's J -pop SSW city pop
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2018年04月25日

ピンクは幸せと母性の色:Puti Chitara - Sarsaparilla Dream

今回は久々にアジアンポップスをチョイス。ちょっと前に本日の1曲で『Sarsaparilla dream』を紹介したPuti Chitaraさんが2014年にリリースした1stアルバムを紹介。

・Puti Chitara - Sarsaparilla Dream

Sarsaparilla Dream.jpg


@ Bloom
A Faster than the wind (YouTube)
B Chasing you
C Sarsaparilla dream
D Universe
E Silly dolly
F Voices (YouTube)
G Mystery shadow
H Illusion
I Happy-tippy-toes








そのCを初めて聴いた時、「まるでカーペンターズの『Close to you』だ!」と強烈な印象を聴くたびに思い出す、カレン・カーペンターにも似たウエットで伸びやかなボーカルと柔らかいピアノタッチが本当に魅力的な彼女、Puti Chitaraは現時点でのバイオによるとマレーシア出身、インドネシア育ちのSSW。70年代のインドネシアでは名の知れたミュージシャンであった母と音楽愛好家である父との間に生まれた彼女は幼少の頃からピアノやバイオリンなどの楽器に触れ、色々な音楽を聴きながら育ったそう。日本への留学経験があるためか、影響を受けた音楽家の中でドビュッシーやカーペンターズなど超著名な方々に混じって久石譲さんに宇多田ヒカルさんなどがラインナップされています。

さて、この1stアルバムはやはりカーペンターズを代表とするA&Mポップスにキャロル・キングやカーリー・サイモンのような70年代に活躍された女性SSWの流れを汲む古き良きオールドタイミーな優しい温もりが感じられつつも、ピンクを基調としたアートワークも印象的でとても女性を感じる、母性を感じるアルバムかと思います。

ピンク色というのは乳がんピンクリボンや子宮を連想させる色でもあり、幸せや母性を感じる色でもあると言われているようですね(by『色がおしえてくれること』)。

そのため楽曲によって甘めのメロディーのときは無償で愛を与える優しさを感じることができたり、シリアスなメロディーのときは愛を厳しさで教えているように伝わってきます。

オススメはもちろん現代版『Close to you』なC、これまたカレン・カーペンターを思わせるメロウなDにキャロル・キングっぽい少しブルージーなFG。

SSWアルバムとしても、ピアノポップ・アルバムとしてもステキなアルバムです。


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2018年03月08日

・夜明けのパープルライト : 木村恵子 - Style

今回は友人とのラインのやり取りの中で知ったアルバムを申し訳ないと思いつつも横取り紹介です!つい数ヶ月前までその存在を知らず、知ったその時から大興奮な1枚。

・木村恵子 - Style

style.JPG


@ Good morning(YouTube)
A 泉に誘って
B 電話しないで(YouTube)
C シンジラレネーション
D 水の都(YouTube)
E コルトレーンで愛して(YouTube)
F Do you remember me(YouTube)
G 黒いマニキュア
H Good-bye Eggman(YouTube)
I シャレード'88


木村恵子さんの88年リリースの1st。彼女自作のナンバーを収めながら松本隆・鈴木茂の両氏がソングライトにプロデュースに大きく関与したアルバムでもあります。

このアルバムを一言でいうと「いい気分にさせてくれる」アルバム

とにかくセンスの良い楽曲がギッシリ。安井かずみ+加藤和彦さんコンビによるジャパニーズ・ポップスのクラシックともいえるFのカバー(オリジナルは岡崎友紀さん)にMTVで流れてくるような洋楽テイストにボサとAOR的なエッセンスを散りばめた構成は、日本の音楽が歌謡曲という呼ばれ方から現在のJ-popという呼ばれ方へと進化を遂げた変遷が見えてくる内容です。

そしてこのアルバムを「いい気分にさせてくれる」と思えるのが彼女のボーカル。色気のある魅力的な声で例えるならば菊池桃子さんにマドンナの艶っぽさが加わった感じに聴こえます。これが少しドメスティックな感じで聴いているこちら側もほろ酔い気分になるんですね〜

歌詞は彼女の他に松本隆さん、湯川れい子さん、そしてFの安井かずみさん、と大御所作詞家がズラリの4組。不思議なことに都会を生きる若いOLの恋愛事情の世界観が1つのストーリーとして統一されている感じがとても好きです。

80年代のリリースなのでバブリーな名残がありますが歌詞の中から浮かび上がる女性像としては海外旅行とビートルズもしくはジョン・レノンが好き、恋愛に関してはとことん周りの人間を巻き込んでしまう、でも何故か憎めない彼女の立ち位置は必ずアイドルグループでいうセンター的な女性。『恋愛とは奪って取らせないもの!』がモットー、束縛は嫌い、でも気にはしてもらいたい。ドラマみたいな恋をしてみたいけど危険な匂いのする男性にも惹かれてみたり、せっかくなので好意を持ってくれた男性とお付き合いをしたものの意地悪くツンデレってみたと思ったら突然『私、結婚しま〜す。皆さん、お先にっ!!!』とさっさとお嫁に行ってしまう、そんな痛快さが気持ち良かったりします

オススメはマドンナの「Into the groove」思わせるBとバーティ・ヒギンズの「Casablanca」を思わせるAORバラードE。これまた切ないDとカバーFで聴ける真摯な歌声も魅力的。ビートルズやジョン・レノンのヒット曲が歌詞に登場する彼女自作のIも少女から大人の女性になった時の心境の変化がストレートに表現されていてこの曲もいいです。
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2018年01月20日

・ミラクル・グレース:Grace Vanderwaal - Just the beginning

今回はLがCMでも使用されているグレース・ヴァンダーウォールの昨年11月にリリースされた1stアルバムを紹介。弱冠13歳にして堂々たる1stアルバムです。



grace.PNG


・Grace Vanderwaal - Just the beginning

@ Moonlight (YouTube)
A Sick of being told
B Burned (YouTube)
C Just a crush
D So much more than this (YouTube)
E Escape my mind
F Talk good
G Florets (YouTube)
H Insane sometimes
I A better life
J City song
K Darkness keeps chasing me
L Over the rainbow (YouTube)
M I don't know my name (YouTube)
N Lungs
O Hope for chance

このアルバムを聴き終えた時、僕は2005年のフィギュアスケート・グランプリファイナルを制して鮮烈なシニアデビューを飾った当時15歳の浅田真央さんと彼女の姿が重なる感じがした。演技後のバックステージで確か松岡修造さん(だったと思う)とのやり取りの中で彼女は「だってミラクル真央だもん♪」と言っていたことも蘇ってきた。それに対してグレースは?というと、アルバムのライナーノーツの言葉を拝借するとして、デビューのきっかけとなったオーディション番組で審査員長に「優勝できる自身はある?」と聞かれて彼女は「奇跡は起きるもの」と答えたという。「ミラクル」という糸を手繰り寄せた彼女たちは絶対どこかで繋がっていると強く感じました。

グレースもまたセンセーショナルなデビューを飾ったといってもいいでしょう。オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」の優勝者、というよりも当時12歳の小さな少女がウクレレを抱えて自作の歌「I don't know my name」を披露したこと、これこそがセンセーショナルで大きな意味があると思うのです。

その「I don't know my name」を収録したEP「パーフェクトリー・インパーフェクト」を僕は友人の好意で聴かせてもらうことができた。音楽の話なんかしない違うベクトルの所にいる友人から「彼女の声に癒されてるんですよ〜♪」とそこで彼女の名前を初めて知ることになったわけでありますが、このEPはオーデション直後のリリースだったためにそのイメージを残した、彼女のウクレレとピアノが寄り添うゆったりとシンプル、天真爛漫な吟遊詩人を思わせる作品で自分も癒されました。

さて、この1stアルバム、カバーのLを除く全曲で彼女と楽曲を担当しているプロデューサーとの共作になっているのはEP同様なのですが、劇的に大人になっている印象でEPの感じで聴いてしまうと面食らうかも。テイスト的にはハスキーなボーカリストとしては共通しているアデルやナターシャ・べディングフィールドの若くして燻された感じの作風と似ているかもしれません。彼女のウクレレが入っていない曲もあったりして大人の意見がそれなりに入ったのだなーと察しはしたけど、このディレクションによってEPよりも輝きを放ったのが彼女のソングライトであったり、より力強く表情豊かになったボーカル。

燻された、という言い方をしましたがLのイメージが全体を包み込んでいるせいか、カラフルな宝石の雨が青空から降り注いで、そのプリズムで虹が見えるような「キラキラ感」が凄く感じられて彼女の魅力はそういうところなのかなと思いました。

自分は弾んだリズムとメロディーがナターシャぽい@D、アデルみたいなBK、EPのイメージが残っているAI、EDM的解釈もできる浮遊感のあるG、出来過ぎ!とも言いたくなるカラフルなカバーLが好きです。

歌詞はラブソングというよりかは誰かに贈ったラブレターといった感じのものが多く、そこが初々しい。時折デビュー時のアヴリル・ラヴィーンを思わせる鼻っ柱の強さを感じるところもあるけど平和主義な人だということは感じられました。

Just the biginning、走り出したこの若きSSWがこれからどんな風景を見て、人と出会って、そんな経験という色彩を音楽にどう活かすのかが楽しみです。

ラベル:SSW pop US 2010's
posted by waterblue at 00:26| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする