2017年08月21日

ハワイに吹いたLAの青い風:Glenn Medeiros - S/T(邦題:変わらぬ想い)

今回はまさにタイトル通り。87年にリリースされたグレン・メディロスのセルフタイトルの1stアルバムを紹介します。中古盤が格安で売っているのをよ〜く見かけますが、実は邪険に扱えないアルバムだったりするんです。

Glenn Medeiros.jpg


・Glenn Medeiros - Glenn Medeiros

@ Nothing's gonna change my love for you (YouTube)
A You're my woman, you're my lady (YouTube)
B Lonely won't leave me alone (YouTube)
C The wings of my heart
D A Stranger tonight
E Pieces of my dreams (YouTube)
F Watching over you (YouTube)
G What's it gonna take
H A fool's affair
I You left the loneliest heart
J Knocking at you door (YouTube)
K Nothing's gonna change my love for you (Japanese version)


彼には90年にボビー・ブラウンを引き連れた「She ain't worth it」という全米1位曲があるのですが、それ以上に有名なのがジョージ・ベンソンのカバー曲@。もともと地元ハワイのコンテストで優勝した時に歌ったのがこの曲で、優勝の特典としてこの曲をシングルにしたところ、ハワイどころかアメリカ全土どころか世界中で大ヒット。アメリカでは最高13位(12位の説もあり)、イギリスで1位をはじめヨーロッパ各国でもベスト3に入る大ヒットを記録しています。このアルバムからのシングルは@のほかにジャーメイン・ジャクソンのカバーBが全米67位、Fが同80位、アルバムは83位を記録しています。本作リリース当時、彼はまだ高校生でティーンらしからぬ、渋い選曲をしたもんだなーと思いましたね。

曲順は日本盤から。AEKは新曲でUS盤には未収録、Eは日本のCM曲になっていたことから独自にシングルのリリースがあったようです。日本盤のジャケはちょっとダサダサだったのでiTunesのものに差し替えました。 

レコーディングはロサンゼルス。参加ミュージシャンはAORお約束!とも言うべき、Michael Landau、Jay Gruska、TomとJohnのKeane兄弟が参加。ソングライターで分かるところではジャーメイン・ジャクソンのカバーBはDavid Fosterとこのアルバムに参加しているTom Keaneが関わっていて、@においてはMichael MasserとGerry Goffinのコンビによるもの。このコンビはホイットニー・ヒューストンの「Saving all my love for you」やダイアナ・ロスの「Do you know where you're going to(マホガニーのテーマ)」やナタリー・コール「Miss you like crazy」など、挙げたらキリがないほどの「大ヒット請負コンビ」でもあって@も当然ながら悪いわけがありませんね。ゴフィンの方はキャロル・キングとのコンビでも有名ですが、80年代でもしっかりと成功を収めています。冒頭での「邪険に扱えない」と書いたのはこうした制作のプロセスがいかにもAORだからなんです!

この1stアルバムはその@Bの流れを汲んだバラードがメインとなった内容でいい曲が揃っています。そして何よりもLAの青く爽やかに吹き抜けるような風が感じられて、そこが個人的には好きなところ。

おおらかな歌唱はハワイで育った環境が大きいだろう。自分は力を込めた高音よりも中低音の部分の声が好きでAの歌唱はとても魅力を感じます。Eのライトな感じも良く、あとはドラマティックはJ、シングルになった@BFはもちろん好きです。

特に@は日本でも鈴木雅之さんがカバーするなど未だに人気は衰えず。ただ、オリジナルのジョージ・ベンソンの方はアルバムの収録曲でシングルのリリースがなかったのでグレンのカバー・バージョンが世界的にはポピュラーなのかと思います。どうしても当時はティーンで爽やかなルックスが災いしてか、アイドル視されてしまいがちですが、ティーンが歌ったAORアルバムとしては最高峰の1枚だといえるのではないでしょうか。
ラベル:80's AOR cover Top 40 US pop
posted by waterblue at 00:52| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月13日

「都会の夜に漂う桜の香り」的なAOR:Amy Holland - Amy

タイトルからわかるように、本当は桜が咲いている時期に紹介したかったのですが、まさにそんな感じのAORアルバム。

amy holland.PNG


・Amy Holland - Amy

@ How do I survive (YouTube@) (YouTubeA)
A Strengthen my love (YouTube)
B Here in the light (YouTube)
C Stars
D Don't kid yourself (YouTube)
E I'm wondering (YouTube)
F Looking for love (YouTube)
G Holding on to you
H Show me the way home (YouTube)
I Forgetting you (YouTube)

このアルバムはAORのディスクガイドにも載っていて、いつか聴いてみたいと思っていました。そんな中、数年前にハードオフで中古LPをサクサク漁っていたところにこのジャケが出てきたのであります、しかも100円で…「」ってな感じでしたね〜。そういう事で自分はレコードで本作を聴いています。A面が@〜D、B面がE〜Iという構成。

こちらは後にマイケル・マクドナルド夫人となるエイミー・ホーランドの80年リリースの1stアルバム。全米アルバムチャートでは最高146位でしたが、ここから1stシングルとして切られたThe bliss bandのカバー@が全米22位まで上昇しヒット、このヒットをきっかけに翌81年のグラミー賞「Best new artist」部門にもノミネートされています。

プロデュースはそのマイケル・マクドナルドとパトリック・ヘンダーソン、ホーンのアレンジにトム・スコット、ストリングスのアレンジにはニック・デ・カロ、とAOR的にも普通に見ても豪華。そして選曲やミュージシャンの手配などはマクドナルド本人が行なった、ということを踏まえると、やはりマクドナルドが中心となって作られたアルバムと言えるでしょう。

そうなってくると彼のソロやThe doobie brothersの作品で聴ける、あのキビキビしたというか、ストイックな感じの音になるのかな〜と思いましたが、確かにGHあたりはマクドナルドらしい音だし、全体的に煌びやかなサックスが印象的で都会の夜を連想させるアーバン・メロウ・トーンで統一されている感じはある。ただそこは女性ボーカル、しかも愛する女性が歌うのであれば彼女のシーナ・イーストンにも似た瑞々しいボーカルも手伝って、都会の夜にライトアップされた夜桜が突然現れて、辺りに桜の香りが吹き抜けていくような、和み系アーバン・メロウになっています。

本作の特徴として、The bliss bandの@、Tim MooreのA、Stevie WonderのE、Matthew MooreのF、Annette HanshawのジャズクラシックIとカバー曲が多く、Iを除く全てが男性ボーカルものというのがポイント。カバーの選曲はパトリックが関与していて、彼と親交のあるアーティストの曲がメインになっているようですね。それぞれオリジナルを聴いてみましたが、ちょーっと地味に聴こえてしまうほど彼女のカバー・バージョンはその瑞々しいボーカルにさり気なく裏返るファルセットがほんのりと色気を携えていて、男性ボーカルでは出すことができない「華やかさ」があります。そこが魅力的でこれらのオリジナル曲は完全に一新され、既に彼女の歌になっています。そのどれもが聴きどころ。自分はディスコティックな@、サックスと分厚いコーラスが切なさ満載のAFがとても好きです。オリジナルはYouTubeでも聴くことができるので比べて聴いてみても面白いです。

・The Bliss band - How do I survive

・Tim Moore - Strengthen my love

・Stevie Wonder - I'm wondering

・Annette Hanshaw - Forgetting you

カバー以外のオリジナルの中ではパトリックとエイミーの共作Dが好き、というかこのアルバムで1番好きな曲。当時の日本でもこんな手法が取られていた感じがして、この曲を聴いて真っ先に思い浮かんだのが石野真子さんの「失恋記念日」でした。
posted by waterblue at 17:25| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月09日

・「未完の大器」だった頃の1st:松たか子 - 空の鏡

あれ?この人こんなに歌うまかったんだっけ?と思ったのがあの「Let it go」の熱唱を聴いた時。



それをきっかけに「歌手・松たか子」を聴いてみたくなってアルバムを買ってみました。実はリリース当時に興味はあったけどスルーしてしまったので遅らせながら〜。

soranokagami.JPG


・松たか子 - 空の鏡
@ Introduction -ガールフレンド-
A Hello goodbye
B I stand alone (Youtube)
C Lovesick
D 空の鏡
E After the rain
F ずっと…いようよ
G a piano piece for Carol
H 東京バード
I からいかれ
J 明日、春が来たら (Youtube)
K Wind song
L Girl friend -Angels of our time-

この「空の鏡」は97年リリースの1stアルバム。女優としては「ロングバケーション」「ラブジェネレーション」など月9ドラマに出演し、人気、実力共に不動のものにしつつある頃の歌手デビュー、当然注目を集めたわけで、まずシングルJがオリコン最高8位、Bが7位、Kが30位と連続ヒット、本作もアルバムチャート最高4位まで上がるヒットを記録しています。

作詞は「東京ラブストーリー」や彼女が出演した今年のドラマ「カルテット」の脚本を書いた坂元裕二氏、作曲・プロデュースにCagnetとして「ロンバケ」のサントラを手掛けた日向大介氏がメインとなって制作、松さんもBFで作詞、Gではピアノ演奏をしています。

やはり両氏とも彼女が出演していたドラマに関わっていたこともあってか、そのイメージを大切にして楽曲を制作されたことがよく伝わってきて、どこか「ロンバケ」で彼女が演じた「奥沢涼子」的な、清純さと透明感が備わった感じになっています。

松さんのボーカルも初作のためか、緊張感がかなり伝わってきますが、花柄のワンピースを着て、桜の木の下でサラリと歌ったような感じが淡い春景色を連想させてとてもいいんです。

自分はミドルテンポのADEHがよくマッチしていてお気に入り。そして歌手としての彼女に春っぽいイメージを持っているのはシングルBJKがあるからでしょう。この3曲はどれも好きで、特にBはPVがとても綺麗で是非ともオフィシャルでPVをYouTubeにアップしてもらいたい!!と切に願っています

初作からいきなり「私、歌ってもすごいんです!」という強い主張が感じられることはありませんが、今井美樹さんにも似た伸びやかなボーカルは大きな可能性を秘めていたんだな、と今聴いてみるとそう思いますね。

この1st以降は彼女もソングライトに大きく関与してゆき、女優業の方もテレビドラマ以外に舞台やミュージカル、と演技の幅を広げて初期の儚いイメージから、どこか毅然とした姿勢で役に立ち向かっていく力強さが感じられるようになって「Let it go」に繋がったのかと思います。

このアルバムはそんな彼女のプロセスが垣間見える貴重な作品といえるのではないでしょうか。改めて「才女」であると感じました。
posted by waterblue at 16:10| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月10日

・情熱sunset: 河内淳一 - Private heaven

お題はジャケットの見たまんまを表現。サンセットにしたけど本当はサンライズだったりして...

本日は河内淳一さんの3rdアルバムを紹介。91年の作品です。

private heaven.PNG


・河内淳一 - Private heaven

@ 1991 (YouTube)
A Good for you (YouTube)
B Night train
C Sweet pain
D 恋のwaiting game
E Original (YouTube)
F おわらないlove song (YouTube)
G Born to be happy
H さよならに虹が降る (YouTube)
I I believe


ソロ名義では4枚のアルバムがリリースされていて、どのアルバムも参加ミュージシャンが豪華で充実した内容なのですが、ギタリストとしての知名度が高すぎるのか、SSWとしてはスルーされているのかな…?と感じています。本作も見過ごされてしまった90年代AORの好盤であることは間違いありません。

本作は前作の2nd「Sweet」同様、海外レコーディングで参加ミュージシャンが超豪華。Bill ChamplinとTOTOのSteve Lukatherは前作に続いての参加、1stでは楽曲提供、2ndではバックボーカルで参加した元PlayerのPeter BecketはカラフルなポップナンバーAで2作ぶりの楽曲提供、TOTOのMichael PorcaroとJoseph Williams、Robben Ford、Marc Jordanが初参戦でBill ChamplinはHでプロデュースも担当、とAOR好きにはたまらないメンツが揃ってのレコーディングは、前作以上にエキサイトしたことが感じられる、気合いと熱気が河内さんのソングライティングやギター、そして特徴的なハイトーンボーカルからひしひしと伝わってきます。

音作り的にはAOR/City popというよりかはポップ・ロック系AORな感じ。いかにも90年代初期的な、どの曲もメリハリの効いた、キャッチーでカッチリまとまっている感じです。そこに河内さんの「気合い」が盛り足しになった本作はとてもエネルギッシュで良い意味で男臭さが感じられるアルバムになっていますね。自分はその部分が元気をもらえる感じがしてとても好きです。

カラフルなA、フラメンコ調のイントロが情熱的なD、ハードなEにアメリカーナGはその象徴と言えるかも。個人的にはシンプルなポップ・ロック@H、ドラマティックなCFが好きです。特にHは歌詞に「エデンの東」とか「ひとり甲虫(ビートル)が消えた悲しいニュース」=ジョン・レノンが亡くなったことが盛り込まれていて、センチメンタルな感じがして歌詞も好きです。

本作はバックボーカルも聴きどころの1つで、AでMarc Jordan、A以外の全曲でBill ChamplinとJoseph Williamsが清涼感のある歌声を披露しています。

そしてMichael Porcaroの参加もポイントとなっていて、彼のコネクションで次作「Juice」ではJeff Porcaroの参加が実現。加えてBill Champlinが「Let the rain fall down」で楽曲提供しています。河内さんは彼をフェイバリットと挙げているのでこれまでのコーラスやプロデュースでの参加以上に悲願だったのではないかと思います。あくまでも推測ですが…。

河内さんの記事を書くのは今回で2回目。1回目は1st「One heart」のレビューを書いたのですが、YouTubeで新たに音源を見つけることができたのでリンクを貼り直しました。よかったらご覧になってください。こちらはサザンの桑田さんや杉山清貴さん参加で、青い涼風が吹き抜けるようなAORを感じられるアルバムです。


この記事でいただいたコメントの中で「途中からバリバリのロックになっていった」という言葉が印象に残っていまして、「Private Heaven」を聴いて「なるほどねー!」と頷きました。

ラベル:AOR J -pop SSW 90's
posted by waterblue at 00:29| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月11日

流れ星になった彼女へ:Boy meets girl - Reel life

今回は「AOR CITY 1000」から2発目のレビューです。
聴き始めたときは目当ての曲以外はイマイチかな…と思ったけど、何回も聴いているうちにメロディーの良さに気付いて好きになっていったアルバムです。

boy meets girl.JPG


・Boy meets girl - Reel life

@ Bring down the moon (YouTube)
A Waiting for a star to fall
B Stormy love
C Anybody out there in love (YouTube)
D Stay forever (YouTube)
E If you run
F One sweet dream
G No apologies (YouTube)
H Restless dreamer (YouTube)
I Someone's got to send out love
J Bring down the moon(single ver.)
K One day





ホイットニー・ヒューストンの全米No.1ヒット「How will I know -恋は手さぐり-」(85年)、「I wanna dance with somebody -すてきなSomebody-」(87年)の作者であるジョージ・メリルとシャノン・ルビカムのソングライターチームによるデュオ、Boy meets girlが1988年にリリースした2ndを紹介。






ここからそのホイットニーのコンサートの帰りに流れ星を見たことで触発されて作られたAが最初にシングルカットされ全米5位、全英9位とヒット、2ndシングルの@が全米49位、アルバムは全米50位を記録しています。

洗練された2人のボーカルに、ホイットニーの上記のヒット曲のフレーバーが至る所に散りばめられた、透明感のあるメロディアスなメロディー、エッジの効いたギターに煌びやかなサックスがフィーチャーされた本作は、同時期に活躍したリチャード・マークスやリチャード・ペイジのバンド、Mr.ミスターにも通じる爽やかな「ウエストコーストAOR」の作風。ただ、こちらは西海岸の青い風が吹き抜けるというよりも太陽の光で波打ち際の波がキラキラ揺れているような「眩しいポップアルバム」だと思います。

どの曲も良くできていますがベストはやっぱり清々しいAでしょう。元々はホイットニー用に書かれたこの曲、でもホイットニー側が難色を示したことで「I wanna dance with somebody -すてきなSomebody-」が誕生し、彼らがAを歌ったのは正解だったと思います。あとはほんのり色気が漂うGが好き。

ただ、全体的にスッキリし過ぎているのが欠点といえば欠点。もう少し厚めのサウンドプロダクションで、やはりホイットニーのようなアタックの強いボーカルが入ると彼らの作るメロディーが思いっきり活きるのでは、と思わずにはいられません。でもそれを想定して聴いてみても楽しい、そんなアルバムとも言えるでしょう。

ホイットニーは2012年に亡くなっていますが、この頃の彼女は歌うことが本当に楽しくて仕方がない、というのが伝わってきて大好きです。自分はこの2曲に「So emotional」の3曲が超大好きです。

ラベル:AOR 80's Top 40 pop
posted by waterblue at 00:20| Comment(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする